ふきのとう
鵜川の冬は長く そして厳しい
朝 起きると 一面の霞
春は近い
薄くなった雪の層を打ち抜いて
長靴が 懐かしい土を踏む
雪の下は空洞になって
チョロチョロと雪解け水が流れている
少しずつ土の見え始めた土手を
ピョンピヨンと飛び石を渡るように
はしゃぎながら登校する
今日はここまで雪を踏まずに来れた
明日はどの辺まで行けるかな?
アッ 蕗のとうを見つけた
ああ 長い冬を よく耐えて
また顔を見せてくれたか
新潟県柏崎市の中心から南へ約20キロ、そこに鵜川・市野新田があります。
かっては数メートルの雪に見舞われたこともある豪雪地帯です。
そこで過ごした思い出を兄妹5人で綴った家族文集「蕗のとう」。
昭和30年代を中心とした 寒村の風土記もどきとして 季節を追いながら
その何編かをご紹介します。